【NW】イーサネット① ケーブル規格
イーサネットとは
イーサネット(Ethernet)とは、OSI基本参照モデルのデータリンク層、TCP/IPにおけるリンク層に相当する 役割を果たすコンピュータネットワークの通信規格です。隣接するホスト間の通信や、通信のための物理媒体そのものについて規定しています。
イーサネットの規格では他の規格と比較して通信制御の仕組みが単純であるため、NICやデバイスドライバといったハードウェアが作りやすく、イーサネット準拠の製品が安価に市場に流通したという背景があります。そのため、イーサネット規格に準拠した製品は世の中に広く普及していきました。実際の現場で使われて広く普及していったという点では、実装重視のTCP/IPと共通しています。
イーサネットで用いられる物理ケーブル仕様
イーサネットには多くのケーブル規格が存在します。以下はおもなイーサネットケーブル規格についてまとめたものです。
規格名 | ケーブル最大長 | ケーブル種類 | 通信速度(最大) |
---|---|---|---|
10BASE2 | 185m | 同軸ケーブル | 10mbps |
10BASE5 | 500m | 同軸ケーブル | 10mbps |
10BASE-T | 100m | ツイストペアケーブル(UTPカテゴリ3~5) | 10mbps |
10BASE-F | 1000m | 光ファイバーケーブル(MMF) | 10mbps |
100BASE-TX | 100m | ツイストペアケーブル(UTPカテゴリ5/STP) | 100mbps |
100BASE-FX | 412m | 光ファイバーケーブル(MMF) | 100mbps |
100BASE-T4 | 100m | ツイストペアケーブル(UTPカテゴリ3~5) | 100mbps |
1000BASE-CX | 25m | 被シールド銅線 | 1Gbps |
1000BASE-SX | 220m/550m | 光ファイバーケーブル(MMF) | 1Gbps |
1000BASE-LX | 550m/5000m | 光ファイバーケーブル(UTPカテゴリ5/5e推奨) | 1Gbps |
1000BASE-T | 100m | ツイストペアケーブル(UTPカテゴリ5/5e推奨) | 1Gbps |
10GBASE-SR | 26m~300m | 光ファイバーケーブル(MMF) | 10Gbps |
10GBASE-LR | 1000m~2500m | 光ファイバーケーブル(SMF) | 10Gbps |
10GBASE-ER | 3000m/4000m | 光ファイバーケーブル(SMF) | 10Gbps |
10GBASE-T | 100m | ツイストペアケーブル(UTP/FTPカテゴリ6a) | 10Gbps |
仕様名称によって通信速度、ケーブルの最大長、ケーブルの種類が異なってきます。例えば、10BASE2は通信速度が10m、ケーブルの最大長が200mの同軸ケーブルであることを表します。一方で、10BASE-Tのように後ろに"T"を冠する規格ではツイストペアケーブルを使用していることを示しています。
ケーブルの種類
同軸ケーブル
一本の銅線を絶縁体で覆ったケーブルです。イーサネットでは10BASE2と10BASE5の2つの規格が存在し、10BASE2は細いケーブル(Thinケーブル)を使用し、10BASE5では太いケーブル(Thickケーブル)を使用します。後述するイーサネットと比較して柔軟性がなく、ケーブルが曲げにくいために敷設が少し困難であるという特徴を持ちます。
ツイストペアケーブル
導線を2本1組で撚り合わせた線(撚り対線)を4本内蔵したケーブルです。導線を撚り合わせることで、導線から発生する磁場を打ち消しノイズの影響を小さくしています。同軸ケーブルと比較し線に柔軟性があり、敷設が容易であるという特徴を持ちます。
ツイストペアケーブルはシールド保護の違いにより、UTPとSTP、FTPに分類できます。
UTP(Unshielded Twisted Pair)はシールド保護を持たないツイストペアケーブルを指します。シールド保護ありのものと比較して安価ですが、ノイズ対策は上記の撚り対線のみになるので、比較的ノイズの影響を受けやすいです。一方のSTP(Shielded Twisted Pair)はその逆で、シールド保護によるノイズ低減の恩恵を受けられますが、UTPケーブルと比較すると高価です。
光ファイバーケーブル
光ファイバーケーブルはプラスチックやガラスなどの材質を用い、光を媒体としてデータを伝送するケーブルです。同軸ケーブルやツイストペアケーブルではサポート不可能な遠隔地への接続を行う場合や、ノイズ障害から通信を保護しし、高速に伝送を行いたい場合に用います。その分、前述した2つのケーブルと比較して非常に高価であり、また敷設に専門の技術を要します。そのため国同士のネットワークを接続するときなど、主に品質が最優先されるようなネットワークに用いられます。